黄泉路
  

しんしんと深い闇があたりをのみ込むように支配する。

なにを自分は見にきたのだろう。
もうすべて終わったあとに。



こんな冷たい場所でどうして、と。だがなぜか涙は流れなかった。

触れることもかなわず、それならばと泣くことさえも出来ないのだ。


友のために何ひとつ出来なかった。そして今も、何も出来ない・・・。

鬼でも泣くのだと、そういったのは自分だったのか彼だったのか。
今はもう思い出せなかった。


ただ自分自身、なにゆえ泣けないのだろう。

ただ冷たい風だけが静かに頬をなぶっていくのだけが悲しい。
それだけが沖田の身体に悲しみを齎す。

なぜ、なぜ、なぜ・・・。


答えなぞ沖田にはわからなかった。

ただ風がひたすら冷たかった。