眠れぬ夜



すべて諦めてしまったはずだった、それでも流れつくされぬ血のように炎のような熱い残滓がせつなかった。
夢も恋も儚いが、こんな夜にはせつなかった。
 
また、血を吐いた。
あとどれほどの間、私は刀を持つことができるだろう……。

他のすべてはきえ去ったとしても・・・・・。
私はこうして生きた。



だが己の全部を剣に捧げ、すべてを諦めたはずなのに。
まだ未練のあるのがおかしい。

ほんとうに可笑しくて、知らず笑いたくなった。
だが、息を吸うだけでくるしいのだ。しぜん、かけそき喘ぎのようにしかならなかった。

まんじりともせずに、夜明けを待ちながら。

未練だと、沖田はやはり哂った。
今はだれもいない、だから思いっきり笑うことも泣くことも出来るはずなのに。



生きたい、生きたい、生きたい。
奔流のような思いが涙と一緒にあふれた。

夜明けまで、こうしていよう。
ただ一度とおのが身を哀れんで。