『血飛沫』
うっとりと、ねだるように白い腕は沖田を深く抱き込みながら
浅黒い肌を愛しげにねぶるように、赤く濡れた唇はさ迷う。

カリと、土方は年若い情人の薄い肩にその白い歯を立てた。



沖田は、すこし困ったような顔で。
土方がしかけてくるいたずらに、甘くこたえるように
すっと体をずらし、下になった。

二人の結合した部分は、すでに幾度とも数えぬ情交のせいか。
どちらともつかない、互いの白濁で。
潤むように綻んでいた。


だが微かの刺激にも過敏に反応したのか、焦れたように年嵩の男は若い男の上で悶えるように、身動く。

沖田の唇から、しのび笑うような声がもれた。


促すように、わずかに沖田は下から突き上げた。
だが足りない。

ますます柔らかい笑い声が、土方の耳朶をくすぐるようにうち、
その指は土方の白い足を撫上げて。

「うごいて、ねぇ。あなたから」

ぞくりとするほど、甘いが。どこか冷たいような声音が聞こえた。


土方はむさぼるように沖田の上で腰を自ら揺らしながら。
沖田の小さな笑い声を、ずっと聞いていたように思った。


禍々しいほど、美しかった今日の情景をふと土方は激しい交合の中で知らず思い浮かべた。

たっぷりと露を含み瑞々しく咲いた白い花、その上に散った赤は毒々しくも哀れだった。