平助。(沖田) 2007年1月31日(水) |
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「よ。沖田」 道場をひょっこり覗き込んだ平助が、軽く手を上げる。
なんか、顔見るの、久しぶりかも……。
「どうしんたんだ。最近、ちっとも寄り付かなかったけど」 「ん。まあね……。しばらく、あっちに行っていたから」
ああ。北辰一刀流のほうね。
「……あれ?」 平助はきょろきょろ見回して、首を傾げる。
「あいつ、来ていないのか?」 「あいつ……?」
俺はわざと分からないふりをする。 そんなことしても、何もいいことなんかないのに。
「あの、斉藤とかいうヤツだよ」
……ほら。
「うん。来ていない」 「ふうん。ま。別にいいけど」
斉藤とかいうヤツも、山口って名のヤツも。 ここにはいないよ。
「な。たまには一緒にやろうか」 「お。いいね〜〜」
俺の誘いに、平助がニヤリと笑う。
「今日こそは、俺が勝つからな。沖田」 「へえ! ちょっとは、向こうで腕を上げてきたのかな。平助くん?」 「言ったな!!」
負けん気の強さは相変わらずだ。
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