沖田が元気がない。いつも明るいやつが、妙に暗い顔をしてれば気にもなる。
土方は「なんでぇ? しょげたツラしやがって?」
からかうようだが、声音はやさしかった。
沖田は笑った。
「なんで、土方さんにはいっつもおれの気分がわかっちゃうんですかね〜」斉藤にだって、わかんないのにと続けた。
「割れちゃったんです」
「はぁ?」
沖田はすこし困ったふうに言った。
「皿です・・・。」
無言で土方が促すようにする。「えっとですね〜、ご新造さんがむかぁしくれたんですよ、近藤先生の団子皿・・・。」
「って、アレか?」
「ええ、あれです」
近藤は厳つい顔に似合わず甘党だった。
皿に山盛りにもられた団子・・・。
「かっちゃんの皿かぁ〜。」
ふふっと沖田は微笑む「久しぶりに聞きました、局長のことかっちゃんって・・・。」
土方はすこしバツのわるい顔をした。
だが。
「なァ総司、そんなしょげるなよ」
「でも大事だったんですよー。あーあ」
くすっと笑った土方が言う「よし、オレが買ってやるよ皿の何枚でも」
沖田はなんとなく、土方の子供のようなもの言いがおかしくて素直に感謝の言葉を述べた。
「じゃあ、今度の非番いっしょに出ましょう。歳さん」
おう、と土方は笑った。