2006/08/03
明日の今日。(二)

にっこりと笑いながら伊庭八郎は今日も今日とて沖田宗次郎を誘いに来た。

さっぱりしたものでも、どうさネ。というなんの変哲もない誘い。



それが宗次郎にはよくわからない。妙だった。


それにここのところ、ずっと土方が変なのである。
やつあたりのように宗次郎にわけのわからないことを、言っていたり。
そのくせどうも元気もないような・・・。

伊庭のせいなのかもしれない。
なんとなく悔しい宗次郎である。


最近、めっきり伊庭と歳三は一緒に遊ばないらしいのだ。
そのせいかと、思うとやっぱり何か悔しいような。

ただ、伊庭は・・・・・・。


道場の雑用が、とか稽古で。
とか言っても。さらりとかわして柔和な笑顔で。

静かに宗次郎を眺めている。
何が楽しいのだろうか・・・。


???


「ねぇ、最近どうして。そんなに・・・。」

なんか聞くのは怖いような気がして言葉につまってしまった。


伊庭はうれしそうに。「おや、宗さん。オイラを気にしてくれるのかえ、ふふっ、何やらこそばいヨ。」

(うーん、歳さんと何かあったのかなァ)


伊庭の柔らかい物腰をなんとなく見やりながら宗次郎は、どうしたもんかと、考えた・・・。


                   (つづく)



2006/08/03
拍手やコメント、ありがとうございます(^^)

※伊庭沖土、続くのがうれしいと言ってくださって。
私のほうがとっても嬉しいです!!
ありがとうございます☆


※拍手おしてくだっさった方、お言葉くださった方。
ほんとに感謝です!!

ありがとうございました**



2006/08/02
互いの在り様。

土方さん、起きて。起きて、ねぇ、おきてよ〜。

(あぁ、うっせーな。オレは寝てねぇんだ。ん、この声っ!!)

がばりと、土方は飛び起きた。


「・・・。」

声がなんだかつっかえた。
今日、土方は沖田に密命を下した、その沖田が屈託なく笑っている。


なんだか、吹っ切れたような明るい瞳をする沖田。しらず、土方は
心の臓にきりりと何かを打ち込まれた気がした。

あんまり沖田が無邪気なままに笑い、その口調は軽やかで穏やかだ。


人を斬ること、それすらも貴方の役にたてるなら。
と、静かに凪いだ沖田の瞳は語っていた・・・。


それが、切ない・・・。寂しい、だが沖田は微笑む。さも幸福そうに、柔らかに。幸福そうに。


沖田は弱音など、オレには言ったことすらない。
どこか寂しい気もした。


だが、こんなのは感傷だ・・・。

そう思いつつ、土方は沖田が去ったあと。
泣いた、涙がとまらない・・・。 なぜだ、なぜ。沖田が・・・。
沖田を失うかもしれぬ恐怖は土方を追い詰めていくようだった・・・。


沖田はかなしげに土方を見ていた。ただ、だまって・・・。


貴方が好きだから、いちども聞いたことない言葉。しかし、ずっと聞こえてくるような気がして・・・。


あぁ、一度でいい。
おめぇの真実を教えてくれ・・・。


一度でいいから。



2006/08/02
明日の今日。

「ねェ、歳さん。伊庭さんと最近なんかあった?」

思わず食っていた沢庵がのどにつかえて、咽たらしい歳三に茶を渡しながら、宗次郎が唐突に聞いた。

「あぁん。伊庭になんか言われたか?」

「ううん、歳さん。最近、何かしょげてるデショ? えっと伊庭さんのせいかなぁって・・・。」

「なんで、それが伊庭のせいになんだ。どっちかというとお前の所為。わかったか・・・。」

「歳さん、ねえ。ほんとのこと教えてよ。おれのせいなわけないよ。伊庭さんと歳さんのことだもの・・・。」


「あ、お前いつから伊庭を伊庭さんなんて、呼んでんだ」

妙に歳三の声が低くなり声が暗くなったのには閉口したというか、得体の知れないものを感じた宗次郎だったが・・・。
根は素直である正直に答えた。

「えっと、知らないうちに・・・。」

「それって、いつだ」

「そんなの覚えてないよー、歳さんだって若旦那のこと伊庭だの八郎だのって呼ぶくせに、何怒ってんの?」

「怒ってねーー!!」

「うそ、うそ、ぜったいウソだ」

「なんだとーーーっ!!!」


危険を察知したのか宗次郎は当初の目的(歳三の不機嫌の原因を探る)を忘れて食客部屋から逃げ出した。
「こら、待て宗次っ」


他の連中には仲の良い兄弟がじゃれあってるくらいにしか見えないのか、日常茶飯事なのか。だれもが、そう気にすることも無い。

のどかな毎日の一幕であった。


ただ逃げ切れなかった宗次郎、涙目である。
顔に似合わず年上の麗人は暴力的なのだ・・・。


なんで、こんな目にあってるんだっけと思わず。首をかしげてしまった宗次郎だった。



                     (つづく)



2006/08/02
拍手やお言葉、ありがとうございます!!

※応援ありがとうございます!!
がんばりますね(^^)

※あ、ゆっくりやろうとお話あいいたしましたので。もしかすると毎日じゃないかも。すみません。
けれど、お言葉たいへんにうれしかったです!!


拍手やメッセージくださいます方に
心から感謝を!!

たいへんな励みです**
頑張れます!



2006/08/01
拍手やメッセージありがとうございます!!

※不思議の入り口、(^^)
ですよねー、R様にいつものごとく作っていただきました。
うれしいです!
A様と斎藤さんと沖田さんで日記。はじめます、よろしくお願いしますね。私の沖田さんはともかくA様の斎藤さんは、素敵です!!


※A様、沖田さん「食虫花」ですか!!
ありがとうございます!
ぜんぜん、暴言などでは。むしろうれしゅうございました。
ちょっと描写、素っ気無いかなぁと思ったので。
そうおっしゃっていただけると嬉しいです!
A様、おおっ、頑張らねばと気をひきしめておるのはこちらです。
A様の斉藤さんとやりあう(ほんとに、何をってツッコミいれたくなりますねw)はずの、私めの書く沖田さんいろんな意味で(?)
と、思いますが。よろしくお願いします。


※わー、ありがとうございます!! すごーく楽しみなんて、もったいないようなありがたいお言葉です。うれしいです。


※拍手やお言葉、ほんとうに感謝しております。
拙いですが、すこしでも読んでくださったかたに
楽しんでいただければ幸いです!!
頑張りますね!





2006/07/31
逢う魔が時。(昇るつき)

むしゃぶりつくように斎藤は沖田の首筋に噛み付いた。


沖田が悲鳴とも喘ぎともつかぬ声をあげる。
その沖田の指がなぞるように、斎藤の背を撫で上げた。



斎藤は、それだけで己が熱く滾るのを感じた。

「あっ、んっ・・・。」

沖田が身をよじるようにしながら、斎藤の腕の中でふるえた。


誘い込むような沖田の指とその慄き、それだけで斎藤はもう何
も考えられない・・・。

そこからはもう、覚えていない。


ただ、沖田の濡れた瞳と。
かすかな喘ぎ、信じられないほど柔軟に斎藤を受け入れる甘い
肢体。


しなやかに揺らめいては、突き放すかのように蠢く熱さ。

そして、沖田の喜悦に歪んだ顔。


これがほんんとうに沖田か・・・。
すべてが終わったあと、沖田はよく見知った無邪気な笑顔でふ
わりと笑った。

「・・・。ふふっ、ねぇどうしましょっか?」


そのくせその腕は、甘く斎藤を引き寄せた。
そして沖田の唇は柔らかくほどけたのだ・・・。


唐突に思った、その唇を奪いたい・・・。
と、そう一度たりとも今のいままで二人のそれは重なることは
無かったのだ。

沖田はまた笑った。

ねぇ、どうしましょっか・・・。斎藤さん。



2006/07/31
うろこ雲。

真夏の暑さも涼んでくるように夕の日が薄紅に、あざやかに鱗雲を染めいく。



虫たちがさかんに恋を歌い、命を燃やす夏。

ぐっ、沖田の咽喉はつまった。
急激にせりあがってくるものがある。

ごほっ、ごほと噎せる。
たまらない、日毎に吐き出されていくおのが身内の血液。


もう、おれは。
おれは。



沖田は知らず、土に膝をついて。その拳を握り締めた。地面を掻くツメに砂や泥が雑じる。

涙は出ない。




 斬りたい、いま鮮烈に斬りたい相手を脳裏に見た。

沖田は、とうとうこらえがたく涙を流す・・・・。
斬りたい、斬りたい、斬りたい。

きりたい、沖田は慟哭した。

あまりに貪欲に求めてしまえば、所詮こうなったはずなのだ。

だが、沖田はやはり鳥のなくように鳴いた・・・。


斬りたいと、ひたすら思い続けて。



2006/07/30
不思議な人。

「若旦那、また来たの」

もうっ、という風に宗次郎は苦笑する。
だが、不思議といままでより態度が柔らかいのに沖田自身は気がついていない。

伊庭はにこりと柔らかく笑って沖田を見た。

「いやね、これをと思い立ってねぇ」ふふと悪戯っぽい目をする。


「えっ、これ。」

なんの躊躇いもなく伊庭はにょろりと長いものを魚篭から引き出した。

沖田はおもわずといったふうに目をむいた。

「なんなんです!?」

「そりゃ、決まってるよ。宗さん、鰻嫌いかえ」

おどろく沖田が面白いのか、伊庭はますます嬉しげだ。

「きらいじゃあ、ないですけど・・・。」いささか気味悪げだ。


伊庭は愉快そうに笑う。

「けど、それって・・・。」まだ鰻は生きている、誰がさばくのだ。
げっそりと沖田は思った。


食客のだれそれならと思うが、あいにくみな他出しているし、ご新造はさすがに鰻はさばかないだろう。

伊庭のことだ、土方にもってきたのかと思ったが。
最近はなぜか二人の雰囲気はおかしいらしい・・・。それに歳三相手の伊庭の手土産にしては、なんやらしっくりこない。
道場の皆でというあたりだろう。


などと、宗次郎が、手土産をどうするか考えている間に。
伊庭は沖田の考えなど手にいるようにわかっていたらしい。


知らぬうちに、ますます笑っている・・・。

「宗さん、心配いらないよ。オイラが持ってきたのさ」

はっとして沖田は伊庭のやけに楽しそうな顔に向きなおった。

「持ってきたからにゃ、オイラがね」


えっ!!

「オイラねぇ、宗さんに食べて欲しくってねえ。こう見えて、オイラ得意なのサァこういうのもネ。」

はあ?
沖田は面食らった。


だが伊庭は見事に伊庭は鰻をさばいた。
目打ちをし、すーっと開く。


さすが歳さんの悪友かと、みょうな感心のしかたをしてしまった宗次郎だった。
が、伊庭の持ってきた鰻。二人で食べるのはもったいない。


その沖田の気持ちが、すんなりわかったのか伊庭は笑って

「あとで歳さんたちと、一緒にお食べヨ。オイラは宗さんのそういうとこがねえ・・・。」
と、またにこりと笑った。



2006/07/30
ありがとうございます♪

Mさま、ありがとうございます(^^)
あーはい。ヤバヤバですね(笑)!!『逢う魔が時。(二)』斎藤さん、喰われちゃいましたー。(たぶんw)

はい、すごく大好きです!!! 
沖田さんが好きなんでー☆ もちろん土方さんもv
応援してますね。


拍手やお言葉、ありがとうございます!!
勇気いただけますv
本当にありがとうございました。